現場で見つかった指摘と写真の事例
アネストでは、2003年の創業以来、非常に多くの住宅に対して、第三者の立場でホームインスペクション(住宅診断)をしてきました。新築も中古も、一戸建てもマンションも、投資用のアパートもそうです。
これまでのインスペクションのなかで、当然ながら大変多くの指摘事例(新築住宅の施工不良や中古住宅の著しい劣化など)を見てきました。
ホームインスペクション(住宅診断)の利用を検討する方からは、実際にどうような指摘がでるのかわかりづらいとの声も多いため、よくある指摘事項の一部を写真付きで紹介します。
それでは、新築一戸建て住宅のホームインスペクション(住宅診断)で見つかった指摘事例を紹介します。新築物件の完成後に行った診断で確認された施工不良や補修すべき劣化事象です。中古住宅の事例はこちらでご確認ください。
外壁の写真です。白い部分がサイディング(外壁材の1つで非常によく使われているもの)で、写真左端に見えるのが排水管です。排水管を外壁サイディングに固定する金物も見えていますが、その金物の右側に小さな穴が2つ確認できます。
この穴は、排水管を外壁に固定する際に誤ってあけたビス穴だと推測されますが、それが補修されずに放置されているため、このままでは雨漏りリスクがあります。外壁内部には防水シートがあるため、この穴だけで直ちに雨漏りするわけではありませんが、将来的に(状況次第ではすぐに)雨漏りするリスクがあるため、早期に補修すべき事項です。
小さな穴だからといって放置しておくと、将来の被害は小さくない可能性があるのです。
床下へ潜ってみたところで、基礎コンクリートの立上り部に穴があいている状況が確認されました。そこに配線されていることも確認できます。
建築途中に基礎の内側に溜まった雨水を排水するために設けた水抜き穴ですが、こういったところから、雨水が浸入して床下浸水した住宅はいくつもあります。写真では見えない部分で処置されている可能性もありますが、それが明確でないなら埋めておくことが望ましいです。
床下に潜って奥まで進入していくと、たびたび見つかる施工不具合の1つが、床下断熱材の落下や落下しそうになっている状況です。この写真でも白い断熱材が、落ちそうになっているのがわかります。落ちてしまうと、本来の断熱性能を発揮できなくなりますから、補修しておくべき事象です。
完成したばかりでも同様の住宅は多いです。
今度は、床下の断熱材が落下しているのではなく、一部の範囲で最初から設置されていないという状況です。中古住宅なら、築年数によっては断熱材が施工されていないことはありうることですが、新築住宅において断熱材が施工されていないことは考えられません(沖縄では温暖なので設置しないこともあるが、愛知ではありえない)。
この写真の住宅では広範囲に設置されていない状況でしたが、ここまで極端な例は珍しく、一般的な指摘事例ではわずかな範囲で設置されていないということがよく見られます。おそらく、現場に納入された数量が不足して追加施工しなかったものでしょう。
床下の写真です。中央に見える金物が床で、基礎底版と大引き(木材)の間に設置されています。写真ではわかりづらいですが、実は束が基礎底版から少し浮いてしまっており、束の機能を果たせていませんでした。
こういった箇所がいくつか散見されましたが、これにより大引きが少し撓むようになれば、床鳴りの原因となりえます。建物の基本構造部の欠陥ではないですが、新築後しばらくしてから床鳴りの多い家に住むのはストレスですね。
屋根裏の様子ですが、壁面に施工されているものが断熱材です。実は、この住宅では、この部分に石膏ボードを施工しなければならない(防火上の効果が期待される)にも関わらず、施工漏れになっているため、本来なら見えないはずの断熱材が見えている状況です。
石膏ボードの内張りが必要なのにされていない住宅は少なくないのですが、建築会社が施工の必要性を理解しておらず施工漏れとなっていることはよくあります(全ての住宅で必要なわけではなく、条件があります)。
屋根裏を点検口から覗いたところの写真です。写真ではわかりづらいですが、断熱材の一部に欠損がありました。
断熱工事を終えた後に設備工事が入ることが多いのですが、その設備工事の際に設備業者にとっては邪魔になる断熱材を少しどけて施工することがよくあります。その後に隙間のできないように丁寧に戻してもらえればよいのですが、そのまま設備業者が仕事を終えてしまうとこのようなことが起こります。
断熱材の欠損箇所があれば、本来の断熱性能を発揮できないので補修すべきことです。
屋根裏には様々な部位があり、多くの木材を見ることができます。この住宅では、雲筋交いという部材の金物で設置漏れ箇所が確認されました。これは構造的に問題があることですから、補修が必要です。
屋根裏は構造金物を見ることができる重要なスペースですから、確認できるようならば見ておくべきところです。
多くの住宅の浴室はユニットバス(UB)になっており、その天井には点検口が付いています。ホームインスペクション(住宅診断)では、こういう点検口の内部はぜひ確認しておくべき箇所です。
その部分を点家公から覗くと、ダクトが換気扇から外れていました。知らずに使用し続けると天井裏に湿気が流れていき、カビや腐食の原因となる危険なことです。ダクトを接続し忘れるという信じられない施工ミスは、毎年、何件も確認されているので、必ず契約前や引渡し前に見ておきたいチェックポイントです。
バルコニーは雨漏り事故が起こることが多いので注意して確認したい箇所です。この写真は、室内からバルコニーへ出るためのサッシのまたぎ部分を下から撮影したものです。つまり、サッシの下側です。
この部分から雨漏りすることが多いため、サッシのすぐ下まで丁寧な施工が求められるのですが、FRP防水のトップ塗装が雑でした。このままでは、強い雨のときに跳ねた雨が浸水していくリスクがあります。
ここまで、愛知県の新築一戸建て住宅で行ってきたホームインスペクション(住宅診断)でのよくある指摘事例の一部を紹介してきましたが、いかがでしょうか。
新築でもそんなに指摘があるものかと驚く人も少なくないでしょう。多くの部材が工法生産されるようになってきたものの、それでも現地で実施される作業工程は多いので、人為的なミスは起こりえるのです。また、建築会社の誤解・知識不足によって生じる施工ミスも少なくありません。
新築といえども、売買契約の前か引渡しの前には、第三者のホームインスペクション(住宅診断)で確認しておくとよいでしょう。
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